私たち保護活動をする者たちは
保護した犬の検査結果がフィラリア陽性と聞くと
その犬の置かれていた環境を思い、胸が痛みます。
なぜならフィラリア症は放っておくと命に関わりますが、
飼い主さんが愛犬のために気をつけてさえあげれば、
簡単に防げる病気だからです。
フィラリアとは?
「フィラリア」は寄生虫の名前です。
犬が蚊に刺されて感染する心臓の寄生虫です。
蚊を媒介にして犬の体に引っ越してきたフィラリアの幼虫(第三期幼虫といいます)は
犬の体の中を成長しながら自由に移動して大人になる頃心臓にたどり着き、
そこを我家に決めて子供(ミクロフィラリアといいます)を産み始めます。
この子供が一度蚊に吸われることで感染子虫である第三期幼虫に成長するのです。
大人になったフィラリアはそうめんほどの太さで長さは15~20cmほどもあるため、
心臓にフィラリアが寄生すると血液の通り道がなくなってしまいます。
そしてさまざまな症状から死に至ります。
フィラリアになるとどうなるの?
「フィラリアになる」というのは、
フィラリアの親虫が心臓に住み着いてしまうことを言います。
前述の通り、心臓にフィラリアが寄生すると
血液の通り道が狭くなってしまいます。
犬は汗をかけませんので体温調節は呼吸だけで行います。
冷たい空気を肺の中にいれて血液を冷やすのです。
体を冷やす為には冷たい血液を体中に送る必要がありますから、
心臓がたくさん働かなくてはなりません。
血液の通り道が狭くなってしまうと、
心臓は道が広かったときと同じ量の血液を送るために、
もっとたくさん働かなくてはならなくなるのです。
そのため心臓への負担が大きくなって呼吸困難になったり、
お腹や肺に水が溜まってしまったり、
狭い道を無理やり通るために血液中の赤血球が壊れてしまい、
赤い尿が出たりするのです。
そして多くの場合、犬は死亡します。
フィラリアの検査はどうして必要なの?
もしフィラリアに感染している犬にフィラリア予防薬を飲ませてしまうと、
心臓に住んでいる親虫が一気に死んでしまうので
親虫の死体が詰まって血流が止まる可能性があります。
前の年にちゃんと薬を飲ませていたとしても
最後に薬を飲ませたより後に蚊によって媒介されたフィラリアがいるかもしれません。
駆虫薬に耐えて生き残ったフィラリアがいるかもしれません。
そういった可能性に備えて検査が必要になります。
フィラリアの予防方法は?
フィラリア症は、予防しないと生命にかかわる重大な病気です。
予防法は、フィラリア症の媒介となる蚊の出現にあわせて
予防薬を毎月1回飲ませる事で行います。
予防期間は、その地域の平均気温によって若干異なりますが、
通常は蚊の発生後1ヵ月から蚊が見られなくなったあと1ヵ月まで
月1回程度、投薬します。
前年度にフィラリア駆虫薬を投与していても、
春に血液検査をしてフィラリアを確認することが必要になります。
フィラリアの薬とその選び方
フィラリアの薬とは体内に入ってしまったフィラリアの幼虫を駆虫するための薬です。
一般的に予防薬と言われていますが、正確には予防薬ではなく駆虫薬です。
薬には、フィラリア駆虫だけに効果のあるもの
お腹の寄生虫まで駆除できるもの
ノミやダニの成長を妨げる効果も合わせているものなど、種類もいろいろです。
値段で決めるのではなく、飼育環境に適したお薬を選んであげてください。
フィラリアになってしまったら?
感染の重さや症状の種類、犬の種類や体型、年齢、
検査した時期によって適した治療方法は異なります。
【どんな症状がでるのか 】
感染したばかりの頃は症状がでないことがあります。
しかし次第に咳をしたり、運動を嫌がるなどの症状を示し、
痩せているのにお腹だけが以上に大きく(腹水がたまる)なったり、
失神を起こすようにまで状態が悪くなっていきます。
そして、状態が悪いのに何も処置をしなければ
最悪の場合、死に至ることもあります。
また突然ぐったりして血尿が出てきた時は
急に状態が悪くなる恐れがあります。
ひどいときにはその日のうちに亡くなってしまうため、早急な手術が必要になります。
【治療の方法と難しさ】
毎月欠かさずにフィラリア予防薬を飲ませることで、
子虫だけでなく成虫も駆除する効果が有ることが分かり、
獣医師の指示のもと少しずつフィラリアの数を減らし駆除していく方法があります。
また、強い駆除薬を使いフィラリア成虫を殺す方法がありますが、
この薬は毒性が強く、一気にたくさんのフィラリアが血管や心臓につまり
急な症状をだす恐れがあります。
急な症状の場合は早めにフィラリアを取り出す必要があるため、
専用の器具を使いフィラリアをとりだす外科手術を行います。
しかし、この手術は犬の体に大きな負担をかけてしまうので
なるべくなら選択したくない方法になります。
そのため、犬の状態があまりよく無い場合や
歳をとっていて麻酔をかけるのが危険なときは、
症状の治療をしながらフィラリアの寿命(5~6年)を待つ方法をとることもあります。
どの治療方法も長い時間や危険な状態に陥る可能性があることに変わりありません。
また、フィラリアになってしまった犬は、
以前と同じ健康な状態に戻れるわけではありません。
病気の間に受けた体へのダメージが残ってしまっているため、
激しい運動などを控え安静に暮らすようにしていかなければならないのです。
以上ように、フィラリア症に感染してしまうと
長期にわたり犬は苦しみ、飼い主さんの苦労と出費は続きます。
こうならないためにフィラリアの予防をする必要があるのです。
「家の中で飼っている」ことは予防をしなくて良い理由には全くなりません。
フィラリア症は飼い主さんnの心がけ次第で確実に防ぐことが出来る病気です。
大切な愛犬と長く楽しく暮らしていけるようフィラリア予防をしましょう。
(gooペットより一部抜粋)
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